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今年の都立グループ作成問題について(2)

2014-02-26
今回は日比谷高校を中心に講評したいと思います。

まず大問1について。日比谷高校の問題は国立高校の大問1とほぼ同じでした。ただ、(4)の確率の問題は日比谷高校のみで出題され、他のグループ内の高校は全て日比谷高校と違う確率の問題でした。

ここで1つ疑問。実施前の発表ではそれぞれの大問について2種類ずつの問題を作成すると言っていたはずですが、大問1の(4)の確率の問題は結局3種類ありました(2次方程式も同様で、2次方程式では西高校のみ他の6校と異なり独自の問題でした)。

差し替えは大問で1題だけできるのですが、日比谷高校は大問2の2次関数を、西高校は大問4をそれぞれ差し替えていると思われます。

そうすると、日比谷高校と西高校は大問1での差し替えはできないはずなので、大問1は3種類用意されていたか、もしくは例えば(1)~(7)位までが用意されていて、それを2種類、つまり14問くらいの中から各高校が5問選択したと考えるしかありません。

いずれにしろ不透明です。どういう問題がグループ作成として用意されていたのかはっきり開示してくれなければすっきりしませんね。

話しはそれましたが日比谷高校の大問1の内容の講評に移ります。

大問1で合否を分けそうな問題は(3)。これは日比谷高校の他は国立高校のみが出題しています。問題自体はとても簡単なのですが、難しく考えすぎるとはまりそう。。。

解法として、aに1、2、3、4、・・・と順に代入していけばすぐに3個とわかる。また、数式で考えると、aがa+4の約数となるということは、a+4をaで割った商が整数となるので、(a+4)/a=1+4/aが整数となればよい、つまりaは4の約数となり、1、2、4の3個となるわけです。

(4)はa-(-b)=a+bが4となればいいだけなので簡単に3/36=1/12とわかるね。

(5)は前回のブログでもかいた通りルート3の作図をするわけだけど、日比谷を受験する層ならここは確実に取りたい。

ということで、大問1は確実に25点、(3)または(5)のどちらかを落としても最低20点は取りたい。

次に大問2。まず解いた感想。「受験生にとってきつい数値を出すな~」でした。

問1はABとBCはともに8と等しくなるので、三角形ABPと三角形BCPの面積比が3:8となるには、ABとBCをそれぞれ底辺と考えたときの三角形ABPと三角形BCPの高さの比が3:8となればいいわけだね。解答は次の通り。

日比谷高校2014年入試 数学

解法の方針は誰でも思いつく簡単なもの。ところが計算が・・・。

まず2次方程式がひどい数値。たすき掛けができる生徒はまだいいが、解の公式しか知らないとここでめげてしまう。

そしてPの座標を使って直線の式を求めるのがまたきつい!!a=87/232となった時点で約分にも気づかずあきらめてしまう生徒もいそうだよね。

そもそも中学校では座標が分数の点を通る直線の式は全く扱わない。しかもy座標はとんでもない数字。こういった数字は一部の難関私立や国立でよく見られるが、公立高校では珍しい。

日比谷高校が大問2をこのような数値を使った問題に差し替えた理由は、東大合格者を少しでも増やしたいという思惑が感じられる。東大合格の為には、この位の数値でもバリバリこなせるようでないといけないからね。

次に問2の(1)。これも考え方自体は非常に簡単で、求めたいRの座標を文字で表し、傾きについて方程式をつくればよいだけ。以下に解答を示す。

日比谷高校2014年入試 数学

実は直線nの傾きと直線mの傾きは、mは2点QDを、nは2点RDを使って変化の割合を考えると、yの増加量が等しくなることに気づけばもっと簡単な方程式になる。でもそれに気づく生徒はほとんどいないと思う。そうすると解答に示した方程式を解くことになる。

そしてとどめの(2)。

(1)の図がヒントになっていることに気づかないと等積変形に気づきにくく、RとPをそれぞれ異なる文字でおいて三角形ADRと三角形APQを文字で表し、文字が2つの複雑な式となってしまう。そうなると、時間ばかりがとられ、結局は解答に至らず終わってしまう。

今年の日比谷高校の合否はこの大問2をいかに上手く切り抜けたかどうかで決まる気がする。問題の解き方自体はごくありふれた簡単なものだけに、なかなか切り捨てられず結局時間だけとられ、最後は答えにたどり着けなかったという生徒も多かったと思う。

私は入試1カ月位前の授業からは必ず「切り捨てる勇気をつける」ことを強調し、例えば今日の演習の~高校の問題だったら、ここは切り捨て、ここは必ず取らなければいけないという訓練をする。

今年の日比谷では、大問2はばっさり切り捨て0点でもかまわない。

続いて大問3。大問3は日比谷・西・国立・立川・八王子東が全て同じ問題。つまり、日比谷を受ける生徒にとっては完全なサービス問題。

問1は、弧BPの長さ:弧BQの長さ=角BOP:角BOQ=角BAP×2:角BOQ=100:120=5:6と非常に簡単。あえていうなら焦っていると6:5としてしまうミスが出るかもしれない。

問2(1)の証明も焦らず時間さえかければ、完全解答が書けるはず。角QAR=角PBQは内接四角形の性質を使ってもいいね。

(2)は、(1)を利用することさえ忘れずに図が描ければ、3点R、Q、Bは一直線上に並ぶことがわかるので、単純なよくある相似の問題として処理できる。三角形ABRと三角形QPRは相似となるので、AR:QR=BR:PRを解けばよいだけだね。

最後に大問4についてだけど、これは前回のブログで講評した通り。

日比谷を受ける生徒であれば、問2までは解きたいところだね。ただ大問2で時間を取られると問2に時間がかけられず、問1だけしか正解できない可能性もある。

以上を踏まえて今年の日比谷高校のボーダー予想だけど、実は正直よくわからない。

というのは、大問2という大きなトラップがあるからだ。もし大問2の2次関数の問題が大問4で出題されていたなら予想は簡単なのだが・・・。

大問2で大きくはまってしまうと下手をすると、大問3という確実に取れる問題も焦って完答できなくなってしまい、最悪大問4が丸々手つかずということもあり得るのだ。

つまり、今年の日比谷の数学は生徒間の得点格差が例年以上に大きくなることが予想され、ボーダーが読みにくいのだ。

もし大問2で大きくはまらなかったらという想定のもとボーダーを考えると、大問1で1問ミスしたとして20点。大問2は0点。大問3は全問完答で25点。大問4は問1のみ正解で7点の計52点が1つの目安となり、これを大きく下回ると厳しくなってくるのではと思う。

以上が今年の日比谷高校の分析。果たしてこのグループ作成の制度にどれほどの意味があったのかはかなり疑問が残りますが、新制度のもとがんばった受験生のみなさん、本当に本当にお疲れ様でした!

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